niwakaの“あくまで個人の感想です。”

その名の通り熱しやすく冷めやすい"niwaka"が、徒然なるままに色々なことを書き散らします。

琉球怪談作家、マジムン・パラダイスを行く

琉球怪談作家、マジムン・パラダイスを行く (ボーダー新書)琉球怪談作家、マジムン・パラダイスを行く (ボーダー新書)
小原 猛

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 沖縄に纏わる不思議な話に特化した『琉球怪談』を世に出した怪談作家、小原猛氏がこれまで行ってきた取材に関する裏話を大公開!

 語られた怪談・昔話の裏に潜んでいた事実。
 沖縄で生活していると「あるある」なこと。
 信用していいユタと信用してはいけないユタの区別の仕方。

 怪談集ではなくエッセイという体裁なので、怪談集では読めない、実体験に基づく著者のユタや沖縄怪談や沖縄そのものへの付き合い方・考え方が綴られている。
 後半はマジムン(妖怪の類)を軸に、著者なりの沖縄民俗の考察が綴られている。一部は本土または世界の昔話にも共通するロジック・パーツもあって、齧っている人なら「ん、これはあれと類似しているのでは?」と思う人もいるかもしれない。
 きっと沖縄には、埋もれていたり戦争で途絶えてしまったりした話や史実がまだまだあるに違いない。著者には怪談と一緒にこういうものをこれからも採集して考察を進めてほしい。

テーマ:沖縄 - ジャンル:地域情報

物語の法則

物語の法則 強い物語とキャラを作れるハリウッド式創作術物語の法則 強い物語とキャラを作れるハリウッド式創作術
クリストファー・ボグラー,デイビッド・マッケナ,府川由美恵

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 読者や視聴者から高く評価される物語の特徴は何か? それは、「彼らを退屈させないこと」だ!

 ハリウッドで数々のストーリー開発に携わったコンサルタントと、友人で映画学の講師が教えるハリウッド式ストーリー創作ハウトゥー本。
 この本で解説されている、物語を面白くするポイントだが、映画や漫画や小説に限らず、同人誌や動画投稿サイトのMMDドラマや手書き劇場といった二次創作でも、面白いと高く評価される作品にはいずれもそのポイントが少なからず盛り込まれていることに、この本を読んでから見返すと気付かされる。製作者の何割かは無意識にストーリーに組み込んでいるのかもしれないが、どちらにせよ、そのポイントがあるから面白く感じるのだ。
 読者や視聴者ならこの本を片手に、好きなら面白かった作品のどこが本で解説されているどのポイントに該当するのか、面白くなかった作品はどのポイントを盛り込めば改善できたかを考えてみてもいいし、創作を嗜んでいる人なら、自分の作品に足りないポイントは何かを確かめるために読み込むのもいいかもしれない。

テーマ:映画関連ネタ - ジャンル:映画

虚実妖怪百物語

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京極 夏彦

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虚実妖怪百物語 急 (怪BOOKS)虚実妖怪百物語 急 (怪BOOKS)
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 シリア砂漠に現れた、旧日本兵の格好をした日本人。彼が去った跡には、未発見の遺跡が残されていた――。
 所変わって日本。水木先生が「目に見えないモノがニッポンから消えた」と騒ぎ出したのを皮切りに、見えないはずのモノたちが日本各地を闊歩するようになり、反比例して人々に狂気が蔓延し始めた。
 日本中から寛容さや余裕といったものが消え失せ、犯罪や刃傷沙汰がそこかしこで起き、その原因が妖怪の仕業であることにされ、多かれ少なかれ妖怪に関わった者達は糾弾の対象にされていく。
 荒俣宏や京極夏彦ら、妖怪が好きな「だけ」の『妖怪馬鹿』達は日本中から迫害されつつも、事態打開を図って右往左往。黒幕である謎の日本人の思惑と正体は。そしてこの狂騒劇の行く末は果たして。
 実在の著名人、妖怪・怪談関係者が登場人物の殆どを占める、世にも奇妙な妖怪小説。


 登場人物たちは窮地に立たされるわ人死は出るわで事態は深刻なのだが、登場人物の大半がどうしようもなく“馬鹿”なので、事態は悪化の一途を辿っているにも関わらず、終始緊迫感と盛り上がりに欠けるぐだぐだ展開。そこが馬鹿馬鹿しく面白いのだが。
 美男美女も出ない、オッサンと架空の存在たちが大騒ぎするだけのメタフィクショナルな、一風変わったライトノベルと思って読むといいのかも。

テーマ:読んだ本 - ジャンル:本・雑誌

銀魂―ぎんたま― 66

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空知 英秋

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 星海坊主との激戦後、銀時ら反乱分子を放置して撤退を始めた虚率いる奈落と春雨。しかし一人残った朧が、己の残り僅かの生命をかけて晋助と一騎討ち! そして朧の口から語られる、吉田松陽がいかにして虚になったか、そして虚の最終目的とそれを遂行するための計画の全貌とは――。
 様々なものを失い、様々なものを得て、様々なボケとツッコミと紆余曲折を経て、ついに侍の最後の戦いが始まる!

 以下ネタバレ含む感想。

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テーマ:銀魂 - ジャンル:アニメ・コミック

聖☆おにいさん(13)

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中村 光

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 マリアがイエスに「HELP ME !」 現場に駆けつけた二人が見たものとは!?
 松田さん主催、松田ハイツの住人同士による忘年会開催! しかしその場でイエスとブッダにある疑惑がかけられて…?
 イエスが滅多にしないオシャレをして外出! 後をつけたブッダに声をかけてきたのはなんと…。

 心身を休めるつもりで有給休暇を取ったのに、相変わらず心休まらない日々を過ごす聖人二人。今日は一体どんな奇跡が起きるのか!?


 松田ハイツの話が一押し。契約するには、立川のどこの不動産屋に行けばいいんですか。

テーマ:漫画 - ジャンル:アニメ・コミック

オーバーロード

オーバーロード1 不死者の王オーバーロード1 不死者の王
丸山くがね,so-bin

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 時は近未来――。
 その自由度の高さから、かつて一世を風靡したMMORPG『ユグドラシル』。
 しかし盛者必衰。ブームの流行り廃りの例に漏れず、ユグドラシルもまたプレイヤーの過疎化が進み、サービス終了を迎えようとしていた。
 鈴木悟もまた、「モモンガ」のハンドルネームで活動するプレイヤーであり、ユグドラシルに、そして仲間たちとともに作り上げたホーム「ナザリック地下大墳墓」に愛着を持っていた。そのため、最終日である今日ログインして、サービス終了の時刻をホームでNPCたちとともに迎えようとしていた。そして――。
 終了時刻を過ぎ、日付が変わっても視界が変わらないことに、混乱と運営に対する苛立ちを露わにする悟に対してかけられる声。それは、NPCであるアルベドから発せられたものだった。
 ゲームでは基本的なコンソールや数値の非表示。プログラミングではできないはずの、NPCとの自然な会話。ゲームではありえない五感の実感。
 常識を超えた異常事態に混乱しつつも情報収集に努める内に、ナザリック地下大墳墓とそのNPCらが、データではなく現実のものとして存在するようになったこと。自分達がホームとともに異世界に転移したこと。異世界にユグドラシルのシステム、そして魔法が存在し通用することを理解する。

 もしかしたら、自分以外にも転移したユグドラシルのプレイヤーが、かつての仲間がいるかもしれない。
 ならば、この世界の隅々にまで、己が所属していたギルド『アインズ・ウール・ゴウン』の名を広めよう。知らぬ者がいなくなるまで。かつての仲間たちにも届くように。

 異世界へ転移した小市民で廃課金者のゲームプレイヤーが、支配者としてNPCとともに異世界を自らのものにしていく様を時にシリアスに、時にコミカルに、そして精細に綴ったダークファンタジー。


 アニメからポロロッカ。面白い!
 現実では平社員だった主人公が、異世界でいきなりトップになり、NPCたちの期待に応えようと四苦八苦。そしてそんな彼を好意的に評価し、時に勘違いして主人公を戸惑わせるNPCたち。そしてテンポの良さ、展開の面白さもさることながら、物語を面白くする要素の一つである、世界全体やモブにまで至る、手抜きのないキャラクターの徹底した作り込み。これらはやはり作者のプロフィールにもある、TRPGの経験が活かされているからでしょうか。漫画原作者の大塚英志氏も自著の中で、物語製作のトレーニングとして、TRPGプレイの重要さを語っていますし、『ロードス島戦記』の水野良氏も、小説の勉強にTRPGの経験は役に立ったと語っているそうですし。
 2巻以降も読むこと確定。

キャラクター小説の作り方 (星海社新書)キャラクター小説の作り方 (星海社新書)
大塚 英志

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新装版 ロードス島戦記 灰色の魔女<ロードス島戦記> (角川スニーカー文庫)新装版 ロードス島戦記 灰色の魔女<ロードス島戦記> (角川スニーカー文庫)
水野 良,出渕 裕,安田 均

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テーマ:ライトノベル - ジャンル:本・雑誌

押絵と旅する美少年

押絵と旅する美少年 (講談社タイガ)押絵と旅する美少年 (講談社タイガ)
西尾 維新,キナコ

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 探偵団の事務所に唐突に出現した、人間大の押絵羽子板。誰が、何の目的で持ち込んだのか。眉美が事務所に向かう前に廊下で出会った、座敷童子との関係は。そして、眉美が入団する前に起きた、探偵団の存続に関わる重大な事件とは。


 カバー絵が素直に団長と語り部で、ニヤニヤ半分、拍子抜け半分。今回は、団長の存在がいかに探偵団にとって不可欠かが大いに解る内容でした。そして新刊が出る度に語り部の捻くれぶりが悪化している(笑)。

テーマ:YA(ヤング・アダルト) - ジャンル:本・雑誌

定本 映画術

定本 映画術 ヒッチコック・トリュフォー定本 映画術 ヒッチコック・トリュフォー
フランソワ トリュフォー アルフレッド ヒッチコック 山田 宏一

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 漫画家の荒木飛呂彦氏も作品作りの参考にしていると言う、映画作家のフランソワ・トリュフォーと、映画監督のアルフレッド・ヒッチコックの対談集。トリュフォーがヒッチコックにインタビューを行い、ヒッチコックがそれに答える形式となっています。
 映画のプロットの根源にある幼年期の体験。観客を惹きこませる映像の撮り方。映画に対するこだわりまで、ヒッチコックが赤裸々に語っています。「敵役が魅力的な映画は良い映画」「写実的に撮るばかりが良いとは限らない」「観客は皆のぞき魔である」など、語られた当時撮影に用いられた撮影技法や心理トリックは、今でも通じるものがあると実感します。
 厚く、重いですが、映画が好きな人、映画業界に憧れる人、その他小説に漫画にゲームに3DソフトにMikuMikuDanceに、全ての創作活動に携わっている人、興味がある人にオススメしたい一冊です。

テーマ:映画 - ジャンル:映画

たてもの怪談

たてもの怪談たてもの怪談
加門 七海

エクスナレッジ 2016-08-03
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 一念発起して引っ越しを考えたKさん。決して安くなく、当たり外れが大きい案件なだけに、何を以って「好物件」かをひたすら考えた結果、出した結論は“運の良い家”だった。 ――しかし。

「……で? 何なんだよ、その運の良い家ってのはよお」


 なまじ様々な方面への知識があり、しかも感性豊かゆえに起きる、物件選びから引っ越し、生活してからの四苦八苦をコミカルかつオカルティックに書き綴った『引越物語』、不幸が起きた家や場所を線で繋いで初めて明らかになる恐怖を描いた『道の話』など、私達にごく身近な道や土地や建物をテーマにしたオカルトエッセー。


 怪談、とありますが、著者自身が後書きで書いたように、その内容はどちらかと言えば著者の近況や昔話、そして考察を綴ったエッセー。
 再録もありますが、過去作に収録された『道の話』の後日談や都庁の考察など、読み応えは十分。人が居心地良い場所には人以外の存在も間借りするのは当たり前。それが虫であろうと彼岸の存在であろうと謎の存在であろうと。

 しかし……。
 ここ十数年の首都圏の猛暑の要因の一つがアレだったとは! もし本当だったら、再開発で全部除くか山側に移してほしい。

テーマ:エッセイ・散文 - ジャンル:小説・文学

神曲

ドレの神曲ドレの神曲
ダンテ ギュスターヴ・ドレ

宝島社 2009-12-14
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 政争に敗れ、国を追われた男がいた。足の行く先、そして心の行く先も判然とせず、迷える彼の前に姿を現したのは、とうに亡くなったはずの偉大なる詩人であった。詩人に導かれ、男は地獄の底へと下り、そして煉獄を通り、天国を目指していく――。


 古典文学の傑作の一つであるダンテの『神曲』と、それを効果的に図像化したドレの画を用いた大人向けの絵本。ダン・ブラウンの『インフェルノ』から『神曲』に興味を持ち、原作より読みやすいと思われるこちらを読んでみた。
 ただの地獄極楽見物記かと思いきや、自らの苦い過去を地獄を通して振り返り、煉獄を通ることで7つの罪を清め、身も心も軽くして天国へと向かう。その過程は正しく「魂の彷徨」で、基督教色は強いがそれ一色ではないので日本人でも受け入れやすく、重厚で、文学である。
 地獄も天国も己の内に有り。卑小でも存在する自身の信念を見失った時、読み返したくなる書籍の一冊。

テーマ:絵本 - ジャンル:本・雑誌

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