![]() | 猫物語 (白) (講談社BOX) (2010/10/27) 西尾 維新 商品詳細を見る |
一頭の虎に睨まれた――。
<前回までのあらすじ>
父親の出張旅程の都合で、羽川を自宅に泊め続けることが難しい戦場ヶ原。そんな彼女が閃いたアイディアとは、 阿良々木暦の妹の火憐を誑かし、阿良々木家に羽川を泊めてもらうことだった。
その晩、ブラック羽川は、忍野忍と虎の怪異について考察し合った後、彼女を学習塾跡に連れて行くのだが、そこは、見るも無残に全焼していた――。
以下、アニメのネタバレ感想なので、ご注意。
【052】
だんだんと追い詰められていく羽川。
ただし、追い詰めてくる相手は探偵、ではなく、今まで退治してこなかった、対峙することのなかった、
まるでバールで寝込みを襲われるみたいな誤解を招くぞ。
実際、一回襲われていますよね。『猫物語(黒)』で。
【053】
阿良々木・母 初登場。
『つばさキャット 其ノ貳』でも、声だけの登場と思われていた戦場ヶ原・父が、全身像ではないが、ちゃんと実体を見せてくれたので、ここでもちゃんと姿を見せてくれたこと自体には、あんまり驚きはなかった。
だがキャラデザインが正直…………、阿良々木暦を基礎に斧乃木余接を足したカンジ、という印象だなぁ。
次いで、登校中にヴァンパイア・ハーフにしてヴァンパイア・ハンター、エピソードと遭遇。
彼、アニメでの台詞は初なんだけど、登場自体は二回目なんですよね。といっても、『ひたぎクラブ 其ノ壹』の頭で流れた『傷物語』のダイジェストの中、一コマだけなんですが。
だから、原作未読の視聴者には、エピソードと羽川が過去にどう関わっていたのか、全く分からず置いてけぼりの展開。
【054】
今シリーズでの重要人物の一人、臥煙伊豆湖が初登場。原作では羽川が、「二十代と言われれば二十代に見えるけれど、でも正直なことを言えば十代にも見える」年齢不祥な方、と評している。それを忠実に再現したのがあのキャラデザイン、というわけ。でも忍野、貝木、影縫の先輩、ということは実年齢は「三十台後半」の可能性があるんだよなぁ。
思わせぶりな台詞を連発しつつ、退場していった臥煙さん。果たして、その真意とは。
【055】
アニメでは省略されていますが、臥煙さんとエピソードと別れた後、羽川さんは携帯電話を利用して、学習塾跡の火事のニュースを確認しています。
そして、漸くここで、自身の心から目を逸らすのをやめ、向き合う事を決心することに。
【056】
図書館に行き、文献・書物の類を調べてみたが、臥煙さんの言う「苛虎」に該当しそうな情報が全く見つからない。そして「新刊」という言葉から、「苛虎」は新種の怪異なのでは、という仮説に至り――。
【057】
自身の仮説について戦場ヶ原と電話で検討。「苛政は虎よりも猛し」なんて、すぐに分かる人は少ないよ。
【058】
阿良々木家に戻った羽川を、強引にトランプ遊びに誘う火憐ちゃん。
【059】
三人がやっていたトランプ遊びのルールは唯一つ、
一番早く、一番高くトランプタワーを完成させた人の勝ち」
……あかん。ちっとも面白いと思えん。
暦が妹達に恋愛相談をした話を聞いて、引く羽川。そして感じる、『不自然な感覚』。
だんだんと、しかし確実に、羽川は自身の不自然を自然に無視することができなくなってきています。
ファイヤーシスターズの彼氏について「どんな人?」と訊く羽川。返ってきた答えが、
「お兄ちゃんみたいな人」
――だったので、ドン引きする羽川。
火憐ちゃんは『猫物語(黒)』で、
それが好きってことなんじゃねーの?」
――って言っていたからなぁ。姉妹の兄に対するリスペクトぶりが半端ない。
【060】
恋愛話の中で、漸く気付く。自身が目を逸らしていたものに。向き合ってこなかったものに。
自分を騙して。騙し続けて。それでも騙しきれなくなると、ブラック羽川――もう一人の自分まで出現させて。
だが。ここにきて、とうとう誤魔化しがきかなくなった。誤魔化しきれなくなってしまった。
真相――苛虎が出現した原因に、行き着いてしまったから。
苛虎を退治するために、過去と対峙するために、そのための準備をする羽川。
暦の部屋にマーキング――自身の痕跡を残し、暦の私服を着て、その自身の姿を写真にして暦に送る。
その写真は、羽川にとっては自身の【遺影】という意味もあった。
そして、暦の椅子に座り、暦の机に向かう。 ――手紙を書くために。
手紙を宛てた相手は。
手紙の内容とは。
そして、苛虎が出現した原因とは。
次回、『つばさタイガー』最終回。