niwakaの“あくまで個人の感想です。”

その名の通り熱しやすく冷めやすい"niwaka"が、徒然なるままに色々なことを書き散らします。

サマー・アポカリプス


サマー・アポカリプス (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)サマー・アポカリプス (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)
(1996/03)
笠井 潔

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 ラルース家事件から数ヵ月が経った夏季。キリスト教の分派であるカタリ派に興味を持ち、その聖地での発掘作業に参加することになった駆と、彼に同行するナディアが目撃することになったのは、ヨハネ黙示録を基とする見立て殺人だった。
 探偵役は志願者に任せ、自身は外側から事件を考察する矢吹に困惑するナディア。

 読者は読み終えるまでに、事件の真相と矢吹の真意を見抜くことができるのか。

 以下、ネタバレ含む感想。


 ①事件に関しては、ただ自分の関心に沿って考察し判断する。場合によっては捜査関係者を欺くことも厭わない。

 ②犯罪を現象学的に考察するために、ひとつの犯罪が現象としてどのようにして生成していくのかを、始めから終わりまではっきりと見届ける必要がある。そのため、事件を未然に防ぐことになる干渉行為は極力行わない。

 ③事件が終わるまでは、①②を理由に、社会的な責任や人間的な反応といったものは極力表に出さない。


 これは、ラルース家事件の時に、矢吹がナディアに語った、自身が事件に関わるときに決めたルールの要約である。今回も矢吹は、そのルールに従い、最初の事件が起きた時、成り行きを喝破していたにも関わらず沈黙していた。

 自身の目的のために。

 だが彼は、事件の裏で起きていた思想的対決において、相手に対し優勢になるに従って、彼の苦悩は増していくようだった、とナディアは見た。もしそれが真実ならば、矢吹の「真の」真意とはなんだったのか。

 私は、彼は対決によって、相手が自分を負かすことによって、第三の離脱、つまりは「真の解脱」を試み、そしてそれは失敗に終わったとみるのだが、矢吹は沈黙するのみである。
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テーマ:ブックレビュー - ジャンル:小説・文学

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