niwakaの“あくまで個人の感想です。”

その名の通り熱しやすく冷めやすい"niwaka"が、徒然なるままに色々なことを書き散らします。

眼球綺譚

眼球綺譚 (角川文庫)眼球綺譚 (角川文庫)
(2009/01/24)
綾辻 行人

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 「読んでください。夜中に、一人で。」

 編集者であるわたしの元に届いた分厚い封筒に入っていたのは、小説が書かれた原稿と短い文面が書かれた便箋だった。

 「読んでください。夜中に、一人で。」

 誰かがわたしを見つめている。そんな感覚に襲われる――、「眼球綺譚」

 表題作を始め、七つの狂気と幻想の世界を描いたホラー短編集。





 その他の短編のあらすじは以下の通り。↓

 私の眼前には今、妻の身体がある。今ここにある彼女の身体には、頭がない。私がこの手で、それを切り落としてしまったのだ。そして、私は待っている。
 彼女のその身体から新しい首が生えてくるのを――、「再生」

 裏山の奥にある小さな池で、私は一匹の魚を釣り上げた。水槽で飼い始めて一週間後、魚の鰭が脚になっていた――。急速な進化を遂げる生物に対する私の嫌悪感を交えた恐怖と清涼感溢れる清々しい結末との対比が素晴らしい、「呼子池の怪魚」

 私が妻と共に入ったその店は、普通の飲食店では食べられない«特別な料理»ばかりを出してくれる料理店だった――。食に対する人間の飽くなき欲望を突き詰めた結果を描いた、「特別料理」

 心の中に、虫食いだらけの言葉が並んでいる。空白を埋める文字を探し出そうとするのだけれど、簡単そうに見えてなかなかうまくいかない――。虫食いだらけの言葉と踏切の警報機の音が恐怖感を強める、「バースデー・プレゼント」

 JRのとある本線を走る夜行列車の中で怪談に興じる四人の若者たち。その中の一人が、過去にその話をした後で必ず変なことが起こったという、ある話を語り始めるのだが――、「鉄橋」

 散歩中に飼い犬が銜えてきたのは、各々の身体部分はとても精巧にできているのに、なぜか頭部には目も鼻も耳も口も、そして髪の毛の一本もない、のっぺらぼうの人形だった。妙に気になったその人形を持ち帰ったその夜の入浴中、私は気付いた。私の身体のその部分から、生まれつきあった大きな黒子が、跡形もなく消えてしまっている――、「人形」

 どの作品にもキーパーソンとして「由伊」という名前が出てくるのですが、その後も他作品に散発的に出てくるので作者のお気に入りなのかもしれません。
 個人的に一番好きなのは「特別料理」。語り手の心情描写には何度読んでもにやついてしまいます。最後の数行には、背徳感と恐怖感とで笑みを浮かべながらゾクゾクしました。次点では読後感が爽やかな「呼子池の怪魚」を推します。
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テーマ:今日の一冊 - ジャンル:本・雑誌

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