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適当徒然

適当に徒然なことを記事にします。

笑うな

笑うな (新潮文庫)笑うな (新潮文庫)
(1980/10)
筒井 康隆

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 急な友人からの電話で友人宅に急行したおれ。友人はしどろもどろになりながら話した。「タイムマシンを発明した」と。
 タイムマシンに乗って、乗る直前の自分たちをこっそり眺める、という不条理な人間心理を描いた表題作「笑うな」をはじめ、ブラックユーモアに満ちた34編を載せた短編集。




 発行は1980年ですが、現代の風俗を先取りしたようなネタもあって、今読んでも面白いです。表題作の他に私が好きな作品は――

 会社の倒産を何とか防ぐために、悪魔に魂を売って助力を得ようと召喚術を行うことにした社長と重役達の顛末を描いた、「悪魔を呼ぶ連中」
 家の外から一歩も外へ出ることなく全ての用事が電話一本で事足りてしまう世の中を切り取った、「客」
 桁外れに強い正義感の持ち主の皮肉な人生を描いた、「正義」
 警察署に見学に行った小学生たち。警察官、小学生、引率の先生、それぞれの本音は――、「見学」
 癌の特効薬が完成したにもかかわらず、関わった人間たちの思惑で製造と販売が延々と先延ばしにされていく、「特効薬」
 行方不明になった人を視聴者の協力を得て見つけ出すテレビ番組に参加して、蒸発した男と再会した母娘。だがテレビ局を出ると――、「涙の対面」
 流行が一日ごとに変わるという世の中を描いて流行に翻弄される人を皮肉った、「流行」
 砂漠で遭難した旅行者。懐いている駝鳥とともに食料がない状況で砂漠を彷徨ううちに駝鳥は彼の懐中時計を食ってしまい、旅行者は代償に駝鳥の腿肉を毟り取って食らってしまう。旅行者がその強欲から身を滅ぼしていく顛末を描いた、「ダチョウ」
 子供が記録する蝶の観察日記が、読み進むうちにだんだんと奇妙なものになっていく、「チョウ」
 緻密な人生設計を立てたために、幸福な出来事が不幸な出来事になってしまうという不条理を描いた、「マイ・ホーム」
 ある日突然犬の思考が読み取れるようになって飼い犬と会話ができるようになった私。だが飼い犬に振り回されることになって終いには――、「ブルドッグ」
 二学期に入って出欠を取ると、なんとなく生徒が一人多い気がする高校教師。つい故郷に妖怪の話を思い出し――。郷愁感あふれる、「座敷ぼっこ」
 男が妊娠し、子を産むという奇妙な話を落語風に語る、「産気」
 映画を卒業しようとした映画好きのおれの元に、映画の神様がご機嫌取りに来た。何でも望みを叶えるという彼におれは、数々の映画女優の良いとこ取りをした女の子に会いたい、と頼んだのだが――、「ハリウッド・ハリウッド」
 突然洋服ダンスの中から日蓮が登場し、現代で末法思想を説き世直しをしようとするのだが――。東京ガスのCMを髣髴とさせる、「末世法華経」
 酔っ払ったSF作家のおれの前に空飛ぶ円盤から宇宙人が登場する。仰天したおれは即座に交番に駆け込んだのだが――。事実が常識の前に敗北する、という悲しい現実を描いた、「ベムたちの消えた夜」
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テーマ:今日の一冊 - ジャンル:本・雑誌

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