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適当徒然

適当に徒然なことを記事にします。

緑染

 数ヵ月後。初夏の頃だ。

 私はまたしても、怪談本の一気読破をしてみたくなった。
 ただし今回は、日中人がいるであろう電車内で最初から最後まで読み終えようという、ヘタレな計画だった。
 選んだのはこの本だった。

新耳袋―現代百物語〈第八夜〉新耳袋―現代百物語〈第八夜〉
(2003/06/02)
木原 浩勝中山 市朗

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 自宅から大学までは、往路で半分、復路で残り半分を読み終えるには充分な距離があった。

 順調に読み進めている内に、ふと気付いた。

 指に、緑色のインクのような染みがついている。

 最初、ボールペンのインクが漏れたかな、と思ったが、昨日は緑色のボールペンは使っていない。
 次に、本から移ったか、と思ったが、御覧のようにカバーには緑色の部分はない。そもそも、手垢がつかないように、購入したその日にビニールのカバーをつけておいたのだから、本から移るはずがなかった。よくよく見ると左右、両方の手の指についている。
 どこでついたのか、と考えているうちに、あることに気付いた。

 緑色の染みが付いている所は、本に触れていた所と同じだった。

 右手の指でページを捲り、左手の指で残りページを押さえる。そのように使って本に触れた指の所に染みがついているのだ。

 とりあえず半分まで読み終えたところで本を閉じると鞄にしまった。駅や大学の洗面所で洗剤をたっぷりとつけてごしごしと洗ったが、染みは落ちない。

 何度も何度も洗ったが、染みは落ちなかった。

 結局、帰りに残り半分を読むことはなかった。

 翌朝、昨日の出来事が嘘だったかのように、指の染みは消えていた。
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テーマ:心霊 - ジャンル:サブカル

コメント

No title

不思議体験ですね、
どかーんと怖いんじゃなくて、じわじわ来る感じがなんともいえない
緑のしみは一体なんだったんだろう~

  • 2009/08/09(日) 01:07:33 |
  • URL |
  • ネモ #LEUra8kw
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