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適当徒然

適当に徒然なことを記事にします。

掌編 『とある晴れた日に』

「せんせー、おはよーございまーす」
「やあ、おはよう」
「せんせー、ちょっときいてー」
「んー、何だい?」
「へんなひとにあったのー」
「変な人? どんな人?」
「はれているのにかさをさしてたのー」
「傘を? 日傘じゃなくて?」
「んー、たぶんちがうとおもう。えのぐのね、んーと、ぐんじょういろのかさなのー」
「ふーん……。晴れた日に雨傘を差した人か……」
「へんなひとでしょー」
「……いや、そうでもないかも」
「どうしてー?」




「一つ。今日の天気予報では、夜にこの辺りを含む広い地域で雨が降るという予報が流れていた。だから、今日傘を持っていることは変ではないよね」
「そうだねー」
「二つ。昨夜は雨が降っていた」
「ふってたけど、それがどうしたの?」
「三つ。今売られている雨傘には、ビニール傘を除いて水滴を弾く機能があるんだけど、濡れたままにしておくとその機能が弱くなってしまう。でも温めると復活するんだ。だから晴れた日には、濡れた傘を太陽に晒して乾かす家庭もある」
「あ、それみたことあるー」
「だろ? だから、もしかしたらその人は、少しでも傘を乾かそうと思って、わざわざ晴れているときでも傘を差していたのかもしれない。あと今朝は日差しが強いから、日除けも兼ねて、差していたのかもしれないね」
「ふーん」
「合理的な考えと常識とが仲良くできないこともある。ある人にとっては正しく思えることでも、他の人から見たらバカなことをしている、と思われることもある。でもバカなことから新しい発見や理論が生まれることもあるんだ。天才とバカは紙一重、という言葉があるけど、僕は全くその通りだと思うな」
「へー」
「おっと、そろそろ教室に行かないと、遅刻になるぞ」
「はーい」



―おわり。―
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テーマ:小説 - ジャンル:小説・文学

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