臓器移植法改正案、16日の本会議で討論―衆院
改めて四つの案を見てみると、争点は「脳死」と「未成年、特に臓器提供者の年齢の引き下げ」のようだ。しかしそれ以前に、A→Bという他者間移植には、常に免疫系の内部機構による拒絶反応の猛攻撃というリスクがつきまとう。
ならば、患者の健康な遺伝子を霊長類以外(チンパンジーやヒヒを使った実験では拒絶反応が起きたため)の代替動物に組み込むことで、その体内に患者の遺伝子を持った臓器を構成させ、それを移植に使うというのはどうだろうか。この方法ならば、臓器に患者本人の遺伝子が含まれるため、拒絶反応が起きる確率がゼロに近くなるのだ。
代替動物を使うこの研究は既に佳境に入っており、アメリカ・ボストンにある企業のCEOは、2010~2020年には全ての臓器が移植用に使えるだろうと見積もることができる、と言っている(無論想定外の事態により延長する可能性はある)。
代替動物には「ブタ」が用いられている。
理由1:霊長類では人間に近すぎて拒絶反応がおきてしまう。
理由2:社会的に霊長類の利用を忌避する機運が高まった。
理由3:イスラム教国と様々な理由で豚肉または肉類を食べない人を除く世界中の人々が、日常的にブタを食べているため、抵抗感が少ないのではないか。
理由4:偶然にもブタの臓器は、構造の面でも生理学的機能の面でも人間の臓器と特によく似ている。
理由5:全ての生産工程を機械にして臓器を培養するよりもコストが安い。
むろん移植用のブタは、細菌などの病原体がいない、管理された環境で育てられる。新種のウィルス発生などの生物危機(バイオハザード)が起きる可能性は、ゼロではないが低いものだ。それにもし起きたとしても、ブタを作ったものと同じ技術→バイオテクノロジーが対抗用ワクチンを生み出すことで、抑制ないし撲滅が可能のはずだ。
この「ブタを使った臓器移植」法が確立すれば、「脳死者」や「未成年」の臓器移植の問題はなくなるだろう。宗教的嫌悪や、ホラー小説『人獣細工』のような生理的嫌悪さえ我慢すれば、臓器移植を待ち望んでいる人たちにとっては朗報だ。
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ちなみに攻殻機動隊の世界においてこの移植方法は、一部の宗教の信者と動物愛護団体を除いて市民権を得ている。とても参考になるので一度は観てほしい。
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#08「恵まれし者たち」
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