niwakaの“あくまで個人の感想です。”

その名の通り熱しやすく冷めやすい"niwaka"が、徒然なるままに色々なことを書き散らします。

山怪 山人が語る不思議な話

山怪 山人が語る不思議な話山怪 山人が語る不思議な話
田中康弘

山と渓谷社 2015-06-06
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 現在、絶滅が危惧されている文化の一つが山里文化である。規制が厳しくなってマタギや猟を止める人が増え、若者は厳しい山から離れていく。山での出来事を語る人が消え、聞く人が消える。ならば完全に消える前にせめて収集せねば、と著者が聞き集めて著したのが本書である。
 その内容は怪火や怪音や怪人といった妖怪めいた話から何が何だか解らない話まで、実にバラエティに富んでいて、しかも都会ではまず採れない話ばかりだ。時代も戦前戦後の話もあれば、あの震災以降に起きた話もあり、山中異界が決して過去の出来事でないことを再認させてくれる。
 面白いのはほぼ隣り合う地域なのに、怪火を一方は狐火と判じているが他方は人魂と判じている。行方不明になった人がとんでもない所で見つかった話は一方は拐かした相手を狐と判じ、他方は天狗と判じている。比較文化学・比較民俗学に興味がある人にも興味深い内容ではないだろうか。
 また、怪火や怪音を体験した人が「不思議なことを体験したことはない」または「不思議なことなど何もない」と言う。本人にとってはそれは狐か狸のしわざか、リンが燃える様や虫の光や音の反響や空耳だからと自分なりの解釈で結論がついているから「不思議でもなんでもない」のだ。語る方には不思議でもなんでもない、しかし聴く方には不思議な出来事。これもまた文化の違いである。
 体験者本人が不思議と思っていないのだから、これまでも「不思議な話、怪談話探してます」では収集できなかった話も数多くあっただろう。怪談収集のアプローチについて再考させられる本でもある。
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