niwakaの“あくまで個人の感想です。”

その名の通り熱しやすく冷めやすい"niwaka"が、徒然なるままに色々なことを書き散らします。

悲録伝


悲録伝 (講談社ノベルス)悲録伝 (講談社ノベルス)
(2015/02/26)
西尾 維新

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 ルール違反は即死につながる“四国ゲーム”を生き延び、紆余曲折を経て、ついに合流した8人の男女。
 “英雄”が語る、目指す“エンディング”――望ましい終わり方に困惑を露わにする、悲恋を除く思想も、能力も、思惑も、全てが異なる不揃いの生存者たちだが、その“目標”のために各人各様の思いを胸に秘め、チーム『空々』が結成される。
 はたして、このでこぼこの混成チームはチーム『白夜』に、魔法少女製造課課長に、始まりの魔法少女『キャメルスピン』に、そして四国ゲームにどう立ち向かうのか。
 そして明かされる“四国ゲーム”の、「究極魔法」を含む“魔法”の真相とは。
 ついに“四国編”完結!

 以下、ネタバレ含む感想。


 読者の期待や予想を盛大に裏切ることに定評がある、常に確信的な裏切り者の西尾維新。そのスタンスは伝説シリーズでも、そして今作でも変わりませんでした。
 読者の予想を裏切るということは、裏を返せば“意外性”によって先の読めない展開にし、読者を物語の続きに興味を持たせ続ける、ということです。物語に感情移入できない、共感できない意外性は「意味不明」「つまらない」「肩透かし」と批判されがちですが、ではこの伝説シリーズで“共感”できるキャラはいたでしょうか。
 主人公を含め、ほとんどのキャラが自分勝手で、他者よりも自分の思想を、目的を、感情を、私欲を、好奇心を、そして生き残ることを優先して行動しています。そしてほとんどのキャラがお互いに共感をしていません。唯一共感しているであろう「悪の地球と戦う」ことにも、主人公が共感しているようには見えません。

 お互いに、そして読者とも共感できない登場人物たち。そして共感できない展開を見せる物語。そもそも共感とは「他者と感情を共有すること」ですが、本当に共有できているかを確認する術はありません。口では「わかるわかる」と言いながら、内心では全く共感できていない、一部だけ共感できていて残りはすれ違っている可能性だってあります。
 また、誰もが共感できる共感の定義は「同じ立場に立たされたら私だって同じことをする、同じ感情を抱く」という意識でしょうが、「大いなる悲鳴」という想像を絶する大災害を体験した彼らに共感できる読者が本当にいるでしょうか。「大いなる悲鳴」だけではありません。前回は「打倒地球」という名目の闘争。今回は「四国ゲーム」という人災。いずれも共感し難かったはずです。
 そしてこの共感性。彼らの個性を、そして出来事を薄めていけば、実は私達の周囲でよくあること、よく起きていることだと思うのですが、どうでしょう。
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