![]() | ヨーロッパに咲いたジャズ文化:ヌアージュ (JAZZ100年 3/17号) (2015/03/03) 不明 商品詳細を見る |
《次号が最終号か――って続くの!?》
新シリーズが始まるみたい。
今号では米大陸を離れて、欧州で進化したジャズ、ヨーロピアン・ジャズに焦点を当てている。
ジャンゴ・ラインハルトのようにジプシーの曲調を取り入れたものはラテン・ジャズっぽく感じるが、全体的にはウェスト・コーストの風を感じる。
その中で“異彩”と呼べる個性を放っているのがミシェル・ルグランとミシェル・ペトルチアーニ。「フレンチ・ジャズ」の魅力を存分に楽しめることだろう。
今号の“ジャズ耳”全開装置の話はよく解る。
音も電気も同じ波の性質、つまりそれぞれ音波と電磁波なのだから、電磁波(ノイズ)が音波の善し悪しに影響を及ぼすのは必定。ただ、どの周波数の電磁波が音波にどのような影響を及ぼすのかよく解っていないということと、今まで殆どの人が気にしなかっただけだ。「電球によって音が変わる」のも、同じワット数でも電球によって発する周波数(光波≒電磁波)が微妙に異なるからだろう。
より音楽鑑賞に適した環境。それは、干渉してくる“波”をどこまで減らせるか、そして相性の良い“波”を見つけられるかが肝要になってくると思われる。
以下、収録曲の感想。
1.ブラジル/ジャンゴ・ラインハルト
アリー・バローゾの『ブラジルの水彩画』をジャズ風にアレンジ。
原曲のオリジナリティを生かしつつ、自身の個性もきちんと前面に出しているのがわかる。
2.ヌアージュ/ジャンゴ・ラインハルト
とてもノスタルジック!
馬車か遊覧船のようなゆったりとした乗り物で移動している時に流れていると、「これをBGMにした人はわかっているな」って思うだろうな。
3.セントルイス・ブルース/ステファン・グラッペリ~マッコイ・タイナー
ヴァイオリンとピアノというクラシックでは定番の楽器でジャズを奏する。そしてこれが実に良い!
楽器そのものを変えることによって”個性”を表現するという発想は、私はとても“ジャズ的”と感じるのだが、他の人はいかがだろうか。
4.プティパックの酒場にて/マイルス・デイヴィス
映画『死刑台のエレベーター』からもう一曲。
大物とセッションすることになったあちらの奏者の心境は、如何程のものだったろうか。
5.ジターバグ・ワルツ/ミシェル・ルグラン
なにこれ凄い。
いずれも名高い奏者が集結しているミーツものであるにも関わらず、それぞれが自分の個性を殺さずに演奏しているにも関わらず、オーケストラのように編曲・指揮を担当したルグランの個性もまた十二分に発揮されているのだ。しかも初心者でも判りやすく!
そういう意味ではなかなか稀有な曲と言えるかもしれない。
6.あなたは恋を知らない/エリック・ドルフィー
タイトルのように「あなたは恋を知らない。早く恋を知って、愛を知って、良い相手を見つけて!」と春の訪れを告げる野鳥に急かされるような、決して悪くはないのだが、異性と付き合ったことがない人によっては耳と心が痛くなるような曲。(苦笑)
7.キャラヴァン/ミシェル・ペトルチアーニ
アメリカで生まれたどのスタイルとも決定的に異なる、独特の演奏。
店内でこの曲が流れたら、まずジャズとは思わないだろう。
8.シー・ディド・イット・アゲイン/ミシェル・ペトルチアーニ
こちらは7.よりもジャズらしさが強いが、それでもアメリカで派生したどのスタイルとも異なる特徴がある。
このオシャレ感。名付けるなら「フレンチ・ジャズ」か。
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