![]() | 毒草を食べてみた (文春新書) (2000/04) 植松 黎 商品詳細を見る |
「いったいこの実はどんな味がするのだろうと、無性に好奇心がわき、一粒つまんで口に放り込んでみた。」(十三頁「ドクウツギ」より)
幼少より好奇心旺盛だった著者が、散歩中に見かけるような身近なものから外国の奥地にまで行かないと目にすることが出来ないものまで、致死性のものから神経性のものまで、44種の「毒草」をネタに毒草の特徴とそれに纏わる自他に関する出来事を綴ったエッセイ。本文そのものにも笑うに笑えない毒があるのはご愛嬌。だが著者が実際に口にしたり体験したりしたのはその内指で数えられるほどなので「書名に偽りあり」と言ったところか。
道路でよく目にする植物に青酸化合物より強い毒性があったり、病気の原因が実は生け花にした花にあったり、花屋で普通に手に入る花がガン化促進作用を持っていたり、と知らなかったでは済まされない話が続々出てきてゾクゾクした。
また、併記されている成分の名称の由来がその植物からというのが大半を占めており、はじめの「全薬物の60%以上が植物に由来している」という記述がその通りであることを改めて実感した。
毒草は縁遠いものではない。気付かないだけで確実に身近に存在する。家族やペットや家畜の誤飲・誤食を防ぐためにも、一度は読んでみてはいかがだろうか。もしかしたら、自分の原因不明の疾患の解明に一役買うかも?
スポンサーサイト