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2024-01

コリン・ウィルソンの犯罪コレクション〈下〉


 主に近現代に発生した事件を基に、人間の欲望の数だけ存在する様々な犯罪の深層に、博覧強記の著者が豊富な知見を通して肉迫しカテゴリ分けした、犯罪ドキュメント。
 下巻は家族やカップルなどの集団による犯罪、宗教・信仰や思想を背景とした観念を動機にした犯罪、また変質者や動機なき殺人者など、特殊性や残酷性が上巻より増した構成になっている。
 しかし通して読むことで解ることは、行為の残酷さに関わらず、加害者が犯行に至った "本質" は、上巻で紹介されたそれらとほぼ変わらない。そして、日本での犯罪加害者も同じ "本質" を抱えている、ということだ。
 普段、私たちは報道などの "点" でしか事件を俯瞰しない。だが事件を "線" や "面" で俯瞰すると、共通する "本質" が見えてくる。その "本質" を認知する人を増やし、 "本質" が生まれにくい社会を構築する。それが犯罪被害者を、そして犯罪加害者を減らす確実な方法ではないか。そう思うのだ。

 以下、本書の本質に言及するのでネタバレ注意。

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コリン・ウィルソンの犯罪コレクション〈上〉


 人類史の傍には常に犯罪あり。犯罪の傍らには常に欲望あり。
 主に近現代に発生した事件を基に、人間の欲望の数だけ存在する様々な犯罪の深層に、博覧強記の著者が豊富な知見を通して肉迫しカテゴリ分けする、犯罪と犯罪学の大百科。

 上巻は恐喝に詐欺、強盗から殺人まで37のカテゴリごとに数多の事件を紹介している。
 通して読むことで見えてくるのは、全ての犯罪加害者には共通する"パターン"があることだ。そしてそれは"動機"ではない。同じ動機を持っていても犯行に至らない者もいる。そしてその至らない者の方が多数である。
 では、犯行に至る者と至らない者の違いとは。それが"パターン"の有無だ。"パターン"の項目は複数あり、項目が多く埋まる時期が早ければ未成年でも、子供でも殺人を含む犯罪行為をためらわない。死刑を含む刑罰は犯罪抑止に一定の効果をあげてはいるが、それはあくまで「対症療法」でしかない。犯罪そのものやその原因を根絶する「原因療法」となり得るのが、犯罪加害者を育む要因である"パターン"の社会認知向上である。そして「予防」となり得るのが、潜在的犯罪者に犯罪行為の成功体験を与えない社会ルール作りなのだが、過度に徹底すると自由権の侵害に繋がる恐れがある点が難しい。
 また、本書では犠牲者/被害者の"パターン"にも言及している。つまり、その"パターン"の項目が多く埋まる人は犯罪もしくは「いじめ」の犠牲者/被害者になりやすい人ということだ。

 私たち自身が犯罪を穢(ケガレ)として目を背け続け、「私たちは常に犯罪とは無関係」という認識でいる限り、そこから脱却して犯罪を真正面から見据えない限り、"パターン"を理解すること、犯罪被害者と犯罪加害者を減らすことはできないだろう。本書はその"パターン"を理解するための一助になるかもしれない。

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J.Smith

Author:J.Smith
 興味を惹かれるととことんのめり込みますが、きっかけがあれば冷めるのも早いです(^^)。
 色々読んでいます。最近は読むだけでなく、実行可能なものは実践してみています。ただし、主観的なもの、プラシーボ効果、思い込み等の可能性も否定しません。

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