クトゥルー(1) (暗黒神話大系シリーズ)
クトゥルフ神話――。それは、アメリカの作家であるハワード・フィリップス・ラヴクラフトが創始し、フランク・ベルナップ・ロングやクラーク・アシュトン・スミスらが広げ、オーガスト・ダーレスらが体系化した、架空の神話体系です。最初は作家同士で架空の神々や地名や書物等といった固有情報や世界観を創作し、共有し、貸し借りする遊びでした。それに読者も気づいたことで追従者が続出し、それに伴って神話体系も拡大・拡散していきました。
このシリーズは、創始者であるラヴクラフトと、神話の拡大と体系化に影響を与えた作家らの代表作を掲載したアンソロジー集です。彼らが楽しみつつ広げていったこの異形の世界の扉、あなたは開けることができますか――?
TRPGリプレイ動画から興味を持ち、全集を購入し、ついにラヴクラフト以外の作品にまで手を出すまでにハマってしまいました。
『クトゥルーの呼び声』(ラヴクラフト)
亡くなった大伯父の遺品を整理していたわたしは、不気味な存在が描かれた粘土板とカルト教団に関する資料を見つける。追跡調査をする内に、ある海難事件の記事を目にし――。
『破風の窓』(ラヴクラフト&ダーレス)
急死した従兄の遺言により、彼の家を譲り受けて移り住んだわたし。その家は、一階に壁にとても奇妙な曇りガラスが嵌められた丸窓がある破風の部屋が特徴的だった。そして従兄の遺言には、その曇りガラスを粉々に破壊せよ、というとても奇妙な指示があって――。
『アロンゾ・タイパーの日記』(ラムレイ&ラヴクラフト)
オカルト研究家のアロンゾ・タイパーが失踪する。後に発見された彼の日記には、生前に訪れた、忌まわしい屋敷の調査記録が記されていた――。
『ハスターの帰還』(ダーレス)
全ては、エイモス・タトルの死に端を発していた。弁護士であり、エイモスの遺言執行者であるわたしだったが、エイモスの甥であり法定相続人であるポールや判事のウォルトンの異見により、住んでいた屋敷の破壊というエイモスの遺言執行を見送った。それがあのような事態を招くことになるとは、誰が予想し得ただろうか――。
『無人の家で発見された手記』(ブロック)
ぼくはウイリー・オズボーン。ここに書いたことはぜんぶ本当のことだと信じてほしい。ぼくは森の中で見たんだ。ひどいにおいのする、ねばねばした緑色の山羊の蹄みたような足跡を――。
『博物館の恐怖』(ヒールド&ラヴクラフト)
ジョーンズは悪趣味な博物館の主人の不興を買ってしまい、猟奇的またはグロテスクな作品が展示される博物館の中で一晩を過ごすことになってしまう。なんとか心を落ち着けて耐え忍ぼうとするジョーンズに襲いかかってきたものとは――。
『ルルイエの印』(ダーレス)
インスマスの旧家であるフィリップス家の末裔であるわたしは、亡くなった叔父の遺産を受け継ぎ、インスマスにある家に住むことになった。家政婦としてアダという女性を雇ったのだが、彼女は何やら目的があるようで、家事の傍らで家探しをしていた。はたして彼女の、そして叔父の秘密とは――。
以下、少々ネタバレ感想。
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『ネクロノミコン』の物語 新訳クトゥルー神話コレクション2 (星海社FICTIONS)
ネクロノミコン。それは、狂気に陥ったアラブの詩人が著した、読む者をを狂わせる魔道の書――。
2集は、クトゥルー神話において代表的な魔導書である『ネクロノミコン』とその著者であるアブドゥル・アルハズレッドが重要なアイテムまたはキーワードとなる物語が収録されています。
『無名都市』
アラビアの砂漠で伝説の古代都市を見つけたわたし。探究心から内部に侵入したわたしが目にしたものは――。
『猟犬』
遊びで墓荒らしをするわたし達は、オランダで暴いた墓から奇妙な造形の魔除けを奪ったのだが――。
『祝祭』
先祖の取り決めに従い、古都へやってきたわたし。やがて怪しげな老人に導かれて古びた教会に入っていくと――。
『ピックマンのモデル』
なぜわたしがピックマンと絶交したのかって? それはな――。
『ネクロノミコンの歴史』
これは、古代アラビアで執筆されたネクロノミコンが現代に伝わるまでのの歴史である――。
『往古の民』
彼から送られてきた手紙には、古代ローマを舞台とした夢の話が綴られていた。彼はそこでは財務官で、囚人を捕らえて法廷へ連れ出すよう上から命じられたのだが――。
『ダンウィッチの怪』
大学図書館に不法に侵入した男が番犬に噛み殺された事件を契機に、男の生地であるダニッチで住人や家畜が失踪したり殺されたりする事件が続発する。男が遺した、暗号で書かれた日記を読み解くと、そこに書かれていたのは――。
『アロンゾ・タイパーの日記』
オカルト研究家のアロンゾ・タイパーが失踪する。後に発見された彼の日記には、生前に訪れた、忌まわしい屋敷の調査記録が記されていた――。
以下、少々ネタバレあり。