オーバーロード14 滅国の魔女
聖王国を援助するための物資を積んだ馬車が、王国の貴族に襲われる事件が発生する。魔導国はこれを機に、王国に宣戦布告を行う。
ランポッサⅢ世、ザナック、ラナー、クライム、ブレイン、蒼の薔薇、そして朱の雫が、それぞれの思いを抱いて動き出す。
果たして、彼らは死を、王国は滅亡を免れることができるのか。
時代の転換点となる出来事を描ききった最新巻。
以下ネタバレしています。
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ラヴクラフト全集(別巻 上)
生前、ラヴクラフトは自身の作品の執筆とは別に、文章添削や他の作家の作品を改訂する仕事、梗概を元に原案者名義で代作をしたり原案者とともに共作をしたりもした。それらの中には、後にクトゥルフ神話に取り込まれたものも少なからずある。別巻では、そのような経緯でラヴクラフトの手が入った作品が収録されている。
『最後の検査』
カリフォルニア州の刑務所で謎の熱病が発生する。マスコミの報道で人々がパニックとなる中、妹は、刑務所の医療部長である兄とその助手の間で交わされた不穏な会話を聞いてしまい――。
『電気処刑器』
社長の命令で不本意ながらも人探しにメキシコに行く羽目になったわたし。しかも道中の電車内で一緒になった男に、自作の器械の実験体として殺されそうになり、製作の経緯を訊いたり書類の作成を勧めたりして、なんとかこの危機から脱しようとするのだが――。
『イグの呪い』
蛇神の伝説が色濃く残る地にある精神病院で、ある異形を見せられたわたしは、院長からその異形にまつわる話を伺うことに――。
『メドゥサの髪』
道に迷ったわたしが訪れた屋敷にいた老人。彼が語る、この屋敷で起きた悲劇とは――。
など、上巻は十二編を収録。
以下、所々ネタバレありです。
ラヴクラフト全集(7)
『サルナスの滅亡』(ドリーム・サイクル)
かつて、ムナールという地があった。そこに遊牧民がやって来て、トゥラー、イラーネク、カダテロン、そしてサルナスという都市を建設した。そのサルナスから遠くないところには以前よりイブという都市があり、そこには面妖にして醜悪な存在が住んでいた――。
『月の湿原』
友人のバリィが買い戻した古城。そこに近い湿原には、手を付けたり干拓を試みようとしたりすると呪いが降りかかるという伝承があった。もちろんバリィもわたしも意に介さず、干拓作業は予定通りに始められたのだが――。
『忌み嫌われる家』
かつて商人一家が、不可解で異常な衰弱で全滅したという、いびつな植物が蔓延る朽ちた家。好奇心と迷信を払拭したいという思いから、許可を得て一晩その家に泊まり込むことにしたわたしと伯父が体験した恐怖とは――。
完結巻だからなのか、既刊からこぼれたものを拾い集めて編集した感はある。しかし、決して駄作凡作ばかりというわけではない。
小説の原型となった、夢の内容を書き起こした手紙を収録した『夢書簡』は、夢の描写が緻密でなかなか面白かった。物書きの練習に夢日記をつけるのも良いのかもしれない。
最後に収録された『断片』。要は序章のみ存在する未完作品なのだが、実は完成していたが本編を何者かに奪われて、後年に原稿がオークションに出されて、落札された原稿を巡って――という物語またはTRPGシナリオが既にありそうだ。特に『Azathoth』。
以下、所々ネタバレありです。
ラヴクラフト全集(6)
6巻は、後に「ドリーム・サイクル」と呼ばれる世界観に統合されるものを舞台やネタにした作品を収録。
そして、クトゥルフ神話とドリーム・サイクルの世界観を統合した、前期ラヴクラフト神話の集大成とも言うべきファンタジー大作『未知なるカダスを夢に求めて』。夢の世界で苦しみながらも自由に大冒険を繰り広げるというヤングアダルト的なその内容は、ラヴクラフトの当時の状況を知ると、以前の苦境から解放されたであろう彼の心境を表していると、どうしても勘ぐってしまう。
【アザトース、ナイアルラトホテップ(暗黒の王)、蕃神、アトラク=ナクア】
《ガースト、ガグ族、シャンタク鳥、月の生物(ムーン・ビースト)、夜鬼(ナイト・ゴーント)、人間もどき(レンの人間)、ヴーニス、ウルハグ、グノフケー族、食屍鬼、ズーグ族、スンガク、ドール族、ブオポス族、マガー鳥、ワンプ族》
[大いなるもの、ナス=ホルタース、クラネス、ノーデンス、ブバスティス]
〈月樹の酒、コスの印、ナコト写本、フサンの謎の七書、五芒星形の印(旧き印)〉
収録されている一編、邦題の『蕃神』は端的に言うと「渡来神」。原題の『The Other Gods』を直訳すると「(他の、もう一つの、向こう側の、過去の、)神々」。素直に受け取るなら外なる神、または旧支配者を指すと思われるが、正体はやはり這い寄る混沌とその下につく存在なのか。
ラヴクラフト全集(5)
今巻はTRPGのシナリオの種になりそうな話が多いと思いました。
①神殿
時は1917年、第一次世界大戦の最中。独軍の潜水艦が英国の船を沈める。乗員の一人が船に絡んでいた死体を投棄する際、死体から象牙細工をくすねたのだが――
②ナイアルラトホテップ
それは、数ヶ月前のことだった。突然、人々が謎の不安に襲われるようになる。そんな時にあれがエジプトからやって来た――
③魔犬
遊びで墓荒らしをするわたし達は、オランダで暴いた墓から奇妙な造形の魔除けを奪ったのだが――
④魔宴
先祖の取り決めに従い、古都へやってきたわたし。やがて怪しげな老人に導かれて古びた教会に入っていくと――
⑤死体蘇生者
死者の復活に心血を注ぐ若き医師ハーバート。わたしが語る、彼が失踪に至るまでの恐怖の物語とは――
⑥レッド・フックの恐怖
現場から離れて治療を受ける刑事。彼が狂気に冒されることになった、ニューヨークで起きた悍ましい事件とは――
⑦魔女の家の夢
探究心から曰く付きの部屋に住むことにしたウォルター。やがて彼は悪夢を見始め、悪夢に出てくる人物を現実でも見かけるように――
⑧ダニッチの怪
大学図書館に不法に侵入した男が番犬に噛み殺された事件を契機に、男の生地であるダニッチで住人や家畜が失踪したり殺されたりする事件が続発する。男が遺した、暗号で書かれた日記を読み解くと、そこに書かれていたのは――
以下、所々ネタバレありです。
ラヴクラフト全集(4)
①宇宙からの色
荒地を見張る老人が語った、かつてそこに住んでいた家族に起きた悲劇とは――
②眠りの壁の彼方
精神病院に強制入院させられた、殺人を犯した男。二重人格を思わせる発作を起こす男にわたしは興味をひかれ、ある試みを実行すると――
③故アーサー・ジャーミンとその家系に関する事実
突如、焼身自殺を遂げた学者、アーサー・ジャーミン。彼がそのような暴挙に走った原因とは――
④冷気
どうしてわたしが冷気をそんなにも恐れているのか、って? あんなことを体験すれば、誰だってこうなるさ――
⑤彼方より
二ヶ月半の時を経て再会した友人は、別人のように醜く痩せさらばえていた。友人が言う「彼方」より来たる存在とは――
⑥ピックマンのモデル
なぜわたしがピックマンと絶交したのかって? それはな――
⑦狂気の山脈にて
次の南極探検計画を中止させたいために、前責任者が語った、南極での忌まわしい体験とは――
以下、所々ネタバレありです。
ラヴクラフト全集(3)
①ダゴン
船乗りのわたしは運悪くドイツ軍に拿捕された後、すきを見て逃げ出す。漂流の後に小島に漂着したわたしは、丘の頂上を目指すことにしたのだが――。
②家の中の絵
道中で雨宿りのために家屋に入ったわたしは、そこでテーブルに置かれた古書に目を奪われて――。
③無名都市
アラビアの砂漠で伝説の古代都市を見つけたわたし。探究心から内部に侵入したわたしが目にしたものは――。
④潜み棲む恐怖
とある地方で起きた大量殺人。探究心からわたしは仲間とともに元凶と噂される館に乗り込むことに――。
⑤アウトサイダー
遥かなる年月を闇の中で過ごしてきたわたし。日の目を求めて塔を登り、念願の外へ出たのだが――。
⑥戸口にあらわれたもの
わたしは確かに親友を殺した。だが彼は親友ではない。親友であって親友でないのだ。なぜなら――。
⑦闇をさまようもの
とある男性が自室で変死体で発見される。彼が遺した日記と客観的事実を元に表された、彼の最後の数日とは――。
⑧時間からの影
後を継ぐであろう息子のために書かれた日記。そこに記されていたのは、謎と恐怖と深秘に満ちた体験だった――。
以下、所々ネタバレありです。
ラヴクラフト全集(2)
①クトゥルフの呼び声
亡くなった大伯父の遺品を整理していたわたしは、不気味な存在が描かれた粘土板とカルト教団に関する資料を見つける。追跡調査をする内に、ある海難事件の記事を目にし――。
②エーリッヒ・ツァンの音楽
かつて借りていた下宿で、わたしはエーリッヒ・ツァンというヴィオラ弾きに出会った。彼の演奏に魅了されたわたしは彼と懇意になろうとしたが、彼は何かに怯えているようで――。
③チャールズ・ウォードの奇怪な事件
精神病院の病室という密室から姿を消した患者、チャールズ・ウォード。彼は何故に精神病院に入ることになったのか。そして、彼はどのようにして姿を消したのか――。
以下、所々ネタバレありです。