イントゥ・ザ・ストーム
![]() イントゥ・ザ・ストーム【Blu-ray】 [ リチャード・アーミティッジ ] |
アメリカ中西部にある街、シルバートンに竜巻注意報が発令される。竜巻や嵐を追いかけてはデータや映像を記録し続けることを生業とするストーム・チェイサーのリーダーであるピートは、気象学の博士号を持つアリソンの意見を受け入れ、シルバートンを次の目的地にする。
一方、シルバートンの高校では卒業式が行われていたが、竜巻の接近に伴い、参加者は式を中断して校舎に避難していた。被害は建物のみに留まっていたが、教頭であるゲイリーは、高校の学生で長男のドニーの姿が見えないことに気づく。実はドニーは、片思いしているケイトリンの卒業制作を手伝うため、卒業式をサボって彼女と廃工場に行ってしまったのだ。次男のトレイからその旨を聞き、ゲイリーはトレイと共に、ドニーとケイトリンを助けに廃工場へ向かう。
途中、ゲイリーらは竜巻を追うピートたちと遭遇、次の竜巻の発生地点が廃工場の方角とわかったことから、行動を共にすることに。
そして彼らは、最強かつ最凶の竜巻と直面することになる……!
行方不明の息子を探す父親と竜巻を追う人々の行動を軸に、最大級の竜巻が街を襲う様をリアルかつサスペンスフルに描写したディザスター・ムービー。
最大の特徴は、登場人物たちがいずれもヒーロー然としていない、「普通の人々」ということである。ゲイリーは救急隊員でも消防隊員でもない、ただの教員であり、加えて妻が亡くなったことで息子たちとの間に溝を感じている。シングルマザーのアリソンは離れて暮らす娘との距離を憂う一方、気象予測を外したことからピートから嫌味を言われストレスを溜めていている。そのピートはなかなか成果をあげられず、スポンサーも降りてしまったことでイライラを周囲のクルーにぶつけている。そんなどこにでもいる彼らが、時に竜巻から逃げ、時に竜巻に襲われた人々を助けようと行動する。その設定が、観客を彼らに感情移入しやすくしてくれる。
また、撮影手法がP.O.V.方式(一人称視点)という点も臨場感を盛り上げる。ストーム・チェイサーはもちろんのこと、ドニーは卒業制作に使う映像記録用に、トレイは卒業生たちが二十五年後に観るための卒業ビデオ用の映像を撮るために、それぞれカメラを回していて、その主観映像が竜巻に襲われる恐怖と臨場感を観客により鮮明に伝えてくれる。特に終盤、ピートが竜巻に飲み込まれた時の、現実的な恐怖と幻想的な美しさの二面性を写した映像は、この映画の最大の見所だ。ちなみに、彼らの映像を編集し、関係者のインタビューを交えて記録として残したものが本作という、フェイク・ドキュメンタリー形式をとっている。
A級俳優がおらず、他の安っぽいディザスター・ムービーに紛れて、なかなか食指が動かないかもしれませんが、これは面白かったですよ!
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