niwakaの“あくまで個人の感想です。”

その名の通り熱しやすく冷めやすい"niwaka"が、徒然なるままに色々なことを書き散らします。

拝み屋怪談 来たるべき災禍

拝み屋怪談 来たるべき災禍 (角川ホラー文庫)
郷内 心瞳
KADOKAWA (2017-06-17)
売り上げランキング: 14,233


 今、私の目の前には、めった刺しにされ、目と口を大きく開き、壮絶な相貌をして事切れた少女が横たわっている。
 彼女の名は、桐島加奈江。
 かつて、絶望の淵にいた私を救い、楽しい日々を過ごし、そして今度は恐怖の底に突き落とした少女。
 どうしてこうなってしまったのか。
 私はゆっくりと記憶を手繰っていった――。

 少年期より、忘れた頃に現れては私を苛み続けた異形の少女、桐島加奈江。ついに彼女と決別することになった私に訪れる、衝撃の結末とは。


 話の展開が良くできている分、小説としての良さは出ているが逆に実話らしさが弱くなっていて、実話怪談が好きな人には受け付けられない内容かも。だが意識してその構成にしているなら、前書きにある「虚実の境が曖昧になることへの恐怖」の表現には成功していると思う。
 途中で明晰夢の話が出てくる。明晰夢は前頭葉が半覚醒した状態で起きる「今自分は夢の中で夢の中にいることを自覚できている状態」だそうだが、前頭前野を含む「前頭連合野」と、その前頭連合野と特に強固なネットワークを形成している「頭頂連合野」において、ウトウト状態では情報伝達効率が低下していることがわかっている。
 で、この頭頂連合野が、観察実験でわかった、被験者が瞑想がピークに達したと感じた時、活動が盛んになっている部位なのだが、別の本で、見えないもの(お化けとか妖怪とか幽霊とか)を視覚化させている部位についても同じ所を指している。そしてそこは空間と時間、自身と世界との境界を自覚する所でもある。
 なぜ一部の人が霊を見、そして干渉することができるのか。もしかしたらそれを解明するきっかけとなるのは脳科学かもしれない。
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掟上今日子の裏表紙

掟上今日子の裏表紙
掟上今日子の裏表紙
posted with amazlet at 17.07.22
西尾 維新 VOFAN
講談社
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 上司の指示で、強盗殺人の容疑で逮捕された容疑者の取り調べを行うために取調室に向かった日怠井警部。なぜ自分が、という疑問は、取調室にいた容疑者を目にした時点で氷解した。彼女の経験者だからだ。
「初めまして。容疑者の掟上今日子です」
「今日子さん。あなたは自分が、どうしてここにいるのか、わかっていますか?」
「それがまったくわからないんですよ。身に覚えがないんです」
「でしょうね」
 経験上、話せば話すほど状況は彼女に有利になることを理解している日怠井警部は、忘却探偵の専門家――彼女のお得意様を呼び出すことに。こうして、隠館厄介もまた事件に関わることになった。
 安楽椅子探偵ならぬ留置場探偵となった掟上今日子が、日怠井警部と厄介を言葉巧みに動かすことで明らかにする、強盗殺人事件の真相とは。


 本筋よりも、警察が調べ上げた今日子さんのプロフィールのおぞましさにぞくりとした。あまりにも空虚。真っ白で、白くて、白々しい。本当に彼女には何もない。その事実に慄然とした。
 あと「裏面」の今日子さんの姿にもぞくりとした。蠱惑感で。あれはエロティシズムがあります。

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銀魂―ぎんたま― 69

銀魂―ぎんたま― 69 (ジャンプコミックス)
空知 英秋
集英社 (2017-07-04)
売り上げランキング: 95


 その圧倒的な剛力で、設えた策を次々と押し潰していく王蓋率いる荼吉尼に対し、更なる奇策、そして援軍で押し返していくかぶき町の人々。しかし、荼吉尼の猛進を隠れ蓑に潜んでいた蒼達率いる辰羅が人質を取り、銀時らの足を止める。かぶき町のこの窮地に現れた、新たな助っ人は…!

 以下、既読者向けの感想。

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人類最強のときめき

人類最強のときめき (講談社ノベルス)人類最強のときめき (講談社ノベルス)
西尾 維新,竹

講談社
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 海底火山の噴火により、新たな島が誕生した。しかし、その海域は国境やら支配地域やらの関係上、絶妙に危うい区域で、現在表裏を問わず、十以上の組織が所有権を主張している。新たな火種が世界を焼き尽くす前にどうにかしようと、どうにかしてもらおうと選ばれたのが、人類最強の請負人、哀川潤。島に数日滞在するだけの楽なお仕事のはずが、危機また危機の連続!
「ここがあたしの死に場所か?」
 人類最強が死を覚悟するほどの表題作をはじめ、読者を死ぬほど夢中にさせる小説とか、謎の飛び降り事件とか、デジタル探偵の挑戦とか最強のギャンブラーとか、5本の作品で人類最強の請負人の現在を綴った連作集。


 今作も、展開は急ぎ足でしたが、表題作が一番面白かったです。敵がとにかくあの手この手で人類最強を苦しめる。主人公格がただの一般人の探検隊だったらもう立派な長編ホラーに仕上がる内容で、人類最強だからこそ短編で収まるのかも。

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山怪 弐

(山怪 続編) 山怪 弐   山人が語る不思議な話 続編(山怪 続編) 山怪 弐 山人が語る不思議な話 続編
田中康弘

山と渓谷社
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 現在、絶滅が危惧されている文化の一つが山里文化である。規制が厳しくなってマタギや猟を止める人が増え、若者は厳しい山から離れていく。山での出来事を語る人が消え、聞く人が消える。ならば完全に消える前にせめて収集せねば、と著者が聞き集めて著した山里怪談集の二作目だ。
 今作も山里ならではの話に溢れており、山中に臨むことの面白さと恐ろしさを伝えてくれる。いつか、同じく山に纏わる怪談を多く上梓している安曇潤平氏と対談してほしい。きっと濃い内容になるだろう。
 本書にも収録されている色々な話は昔から起きていて、物の本に目を通すと、過去に亡くなった樵の霊「古杣」の仕業である、「天狗笑い」「天狗隠し」「天狗火」と呼ばれるように天狗の仕業である、と昔の人も当人なりの理屈で「そういうものだ」と結論づけている。理に適っていなくてもひとまず結論づけることで恐怖を弱め、生活のため、生きるためにいつものように山に入っていくのだ。
 それを踏まえると、狐狸妖怪の仕業と断ずることも錯覚と断ずることも同じことのように思え、人の意識構造は今も昔もそんなに変わっていないように思えてしまった。

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地名の由来を知る事典

地名の由来を知る事典地名の由来を知る事典
武光 誠

東京堂出版
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 古代日本語(上代語)、地形、官職、交通など、ジャンル別に地名の由来について解説した小事典。地名を調べれば、危険地帯だったのか、誰が支配していたのか、とそこが昔どういった場所だったのかが見えてくるので、読めば読むほど、昔の地名は残さなければならないと思えてくる。
 ただ、製鉄業など、農業以外の産業由来の地名や参考資料の一覧がないなど、あまり充実しているとはいえないのが残念。なんか他にいい本ないかな。

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D坂の美少年

D坂の美少年 (講談社タイガ)D坂の美少年 (講談社タイガ)
西尾 維新,キナコ

講談社
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 私、瞳島眉美はこの度、指輪学園の次期生徒会長に立候補することになりました!
 自他ともに認めるクズであるこの私に、清き一票を!

「…………………………………………」

どうしてこうなった!


 美少年探偵団の副団長・咲口長広は現生徒会長でもある。彼が推していた次期会長候補者が轢き逃げに遭ってしまう。次期生徒会長が誰になるかで学園の今後が左右される。もしや何らかの陰謀が、ということで事件の解決に乗り出す探偵団。そしてスケープゴートとして選挙に立候補することになった眉美は、無事に当選することができるのか。
 物語は、学園に不穏な影がさす新展開へ!


 なんか、球磨川禊の再来のような、詐欺師以上に物騒な輩が登場。現実主義と平等主義の塊である無個性による個性の駆逐? 数巻に渡って対決しそうな流れだけど、終わりは美しく閉じられるのか、それとも…?
 そして、過去の全てのシリーズで描かれているテーマ「成長」と「変化」がついに今巻で登場。
 人は常に変わる。いつまでも今のままではいることはできない。だからこそ、過去を美しい思い出として振り返るために、今を美しく生きる。後悔しないように。

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銀魂―ぎんたま― 68

銀魂―ぎんたま― 68 (ジャンプコミックス)銀魂―ぎんたま― 68 (ジャンプコミックス)
空知 英秋

集英社
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 真選組、そして御庭番衆が戦線に加わるが、解放軍もまた新たな兵器、そして荼吉尼、辰羅、夜兎ら傭兵部族を戦線に投じる。解放軍の猛攻を止めるため、かぶき町の面々が取った策とは。一方、敵中の坂本らもまた、ただ大人しくしているつもりはなかった。地球と宇宙、それぞれの戦闘はまだ始まったばかり!

 以下、少々ネタバレ含む感想。

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パノラマ島美談

パノラマ島美談 (講談社タイガ)パノラマ島美談 (講談社タイガ)
西尾 維新,キナコ

講談社
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 美少年探偵団が冬季合宿の舞台に選んだ孤島、野良間島。そこでは、かつて指輪学園に勤めていた教師が生活していた。
 彼女の芸術を見たいという探偵団の申し出に対し、元教師――永久井こわ子の回答は「見られるものなら見てみたら?」
 島中を奔走し、意見を交わし、頭を働かせた探偵団の面々が観た、永久井こわ子が製作した「絵」とは――。


 表題作のほか、2つの短編を収録。表題作は美術系謎解きなので、読む人によってはすごくもやもやするかも。

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QED 河童伝説

QED  河童伝説 (講談社ノベルス)QED 河童伝説 (講談社ノベルス)
高田 崇史

講談社
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 なぜ河童はきゅうりが好物なのか。
 なぜ河童は金を嫌うのか。
 なぜ河童は優れた傷薬を所有していたのか。
 なぜ天神様、菅原道真公は河童とされているのか。
 そして、なぜ、河童は河に棲む「河の民」なのか。

 河童にまつわる数々の伝承の裏には、実在していたことすら糊塗された、悲哀に満ち満ちた河童の歴史が隠されていた――。


 伝承を「どうして」と疑問を抱かず、「そうなんだ」と鵜呑みにすることが、いかに愚かしいことか。そして「伝承」は、現代では「情報」を指す。伝えられた情報だけでなく、伝えられなかった情報にも意識を向け考えられるようになれば、きっと虚報に騙されることも誤報に惑わされることも抑えられるはず。

テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌

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